Packraft Hokkaidoでアルパカラフト製品をお買い上げいただいた皆様、誠にありがとうございます。
このページでは、パックラフトを長く良い状態で保つためのメンテナンス方法と、トラブル時の修理方法をまとめてご紹介しています。
保証書のQRコードからアクセスされた方へ フィールドでは電波が届かない場所も多いため、出発前に下記のボタンからPDF版をスマートフォンに保存しておくことをお勧めします。
📥 メンテナンス・修理ガイド PDF版をダウンロード (リンク先: https://packrafthokkaido.net/wp-content/uploads/2026/06/alpacka_maintenance_guide.pdf
1. フィールドでのケア
パックラフトは「酷使に耐えるギア」として作られているため、フィールドで特別な手入れを意識する必要はほとんどありません。
ただし、唯一気をつけたいのがカーゴフライジッパー(TIZIP)です。砂やチリ、ゴミが噛み込むと開閉が重くなったり、シール部分が傷んだりする原因になります。トリップ中はジッパー周りに異物が付かないよう、軽く気を配っておくと安心です。(詳しいメンテナンス手順は「3. カーゴフライ(TIZIP)のメンテナンス」で解説しています。)
また、パックラフトを背中や自転車に固定して運ぶスタイルもよく見られますが、長時間の摩擦は生地の摩耗につながります。固定方法やパッキングの仕方によって、艇体の同じ箇所が擦れ続けることがないよう注意しましょう。
2. 自宅での清掃・保管方法
トリップから帰ったら、ちょっとしたケアでパックラフトの寿命が大きく変わります。
清潔に保つ
中性洗剤で洗うことで、艇を清潔に保つだけでなく、川の水を介した外来種の拡散防止にもつながります。
しっかり乾燥させる
濡れたまま保管すると、カーゴフライのジッパーが傷んだり、独特の強い臭いが発生したりすることがあります。一度ついてしまった臭いは取り除くのが大変です。トリップごとに、艇を吊るすなどしてしっかり自然乾燥させてから保管することをお勧めします。
保管場所
風通しの良い、涼しく乾燥した場所での保管が基本です。吊るす・ゆるく巻く・折りたたむといった方法が適しています。きつく巻いてスタッフサックに収納したまま保管すると、変色やシミの原因になることがあるため、長期保管時のスタッフサック収納はおすすめしません。また、紫外線による劣化を防ぐため、直射日光の当たる場所への保管も避けてください。
使用前の耐航性チェック
長期保管後や、防水シート・ソリ代わりなど設計外の用途で使用した後は、見えないダメージが残っている可能性があります。次回使用前には、必ず艇全体に損傷がないか確認しましょう。
UV保護スプレーは使用しない
艇に「UV保護剤」やそれに類するスプレーを使うと、修理材料や接着剤が定着しにくい硬いコーティングが形成されてしまいます。誤って使用してしまった場合、効果が薄れるまでは現場での補修や付属パーツの接着が難しくなる点にご注意ください。
3. カーゴフライ(TIZIP)のメンテナンス
カーゴフライジッパー(TIZIP)は非常に高性能な防水ジッパーですが、一度破損すると交換にはそれなりのコストがかかります。日常的な洗浄と潤滑によって、スライダーやシール部の負担を大きく減らすことができます。
潤滑剤の塗り方からチェーン部分のケア、使用前後の洗浄まで、6ステップでまとめた詳しい手順はこちらの記事をご覧ください。
→ TIZIPカーゴフライジッパーの正しいメンテナンス方法|パックラフトを長く使うために
4. テンパーアシストバルブの仕組みとトラブルシューティング
AlpackaRaftのテンパーアシストバルブは、注気時の空気抜けを抑えながら空気圧をスムーズに上げられる優れたシステムです。完全な一方向弁ではなく、スプリングと連動して開閉する構造になっています。
「なんだか少しずつ空気が抜けている気がする」という場合、見落としがちな原因のひとつがバルブキャップ内部のガスケット(パッキン)の欠落です。パッキング時にキャップを閉め忘れると、気づかないうちに脱落してしまうことがあります。
詳しい仕組みと対策については、こちらの記事で解説しています。
→ AlpackaRaft テンパーアシストバルブの盲点|ガスケット欠落に注意
5. リーク(エア漏れ)診断
「なんとなく空気が抜けている気がする」というとき、まず思い出していただきたいのが「テンパリング」という現象です。
パックラフトは非常に低圧のボートのため、気温の変化で圧力が簡単に変わります。冷たい水に浮かべると、口やPack-A-Pumpから入れた温かい空気が冷えて収縮し、艇が柔らかくなることがあります。これは故障ではなく自然な現象で、出発前に何度か空気を追加して圧力を安定させる「テンパリング」で対応できます。バルブがしっかり閉まっているか(締めすぎにも注意)も、まず確認しておきたいポイントです。
それでも空気が抜けているようであれば、以下の手順で漏れ箇所を探してみましょう。
1. 落ち着いて全体を観察する
ギアを全て外し、完全に膨らませた状態で、艇の周囲と底をゆっくり点検します。
2. 音で探す
川の流れる音から少し離れた場所で耳を澄ますと、速い漏れであれば音で気づきやすくなります。
3. フロアの継ぎ目をチェック
可能であればヘッドライトで照らしながら、床にコップ一杯程度の水を注ぎ、艇を横向きに持ってゆっくり回転させ、チューブとの接合部に気泡が出ないか確認します。
4. 圧力がかかる部分を重点的に
グラブループ、シートの取り付け部、足がチューブに触れる部分など、負荷がかかりやすい箇所は特に注意して見てみましょう。
5. 石鹸水でチェック
キャンプ用ソープをよく溶かした石鹸水を疑わしい箇所やバルブにかけると、漏れがあれば泡が膨らんで一目でわかります。
6. 水没チェック
それでも見つからない場合は、艇に少量の空気を入れてバルブを閉め、水中に沈めて気泡の流れがないか確認する方法もあります。
6. チューブ・フロアの修理
パックラフトに穴が空いたり、生地が裂けてしまったりした場合の対処法は、状況によって変わります。ピンホールのようなスローパンクであれば、適宜空気を入れながら次の上陸ポイントまで進めば十分なケースが多いですが、パネルの裂けなど明らかな損傷の場合は、すぐに上陸して補修を検討する必要があります。
現場修理キットに入れておきたいマテリアルや、シチュエーション別の対処方針については、こちらの記事で詳しく解説しています。
また、現段階でのパックラフト現場修理に最も適した補修テープとして、タイベック®シーティングテープもおすすめです。ピンホールから大きな裂け目まで、フィールドで素早く補修できます。
→ 現段階でのパックラフト現場修理に最も適した補修マテリアルのタイベック®シーティングテープ
7. バルブ修理(メインバルブ・エルボバルブ)
バルブ周りのトラブルは、原因を特定できれば現場でも対応できるケースがほとんどです。
メインバルブからの「シュー」という音
キャップを外した状態でバルブから空気が漏れる音は、実は正常な現象です。テンパーアシストバルブのフラップは注気時の空気抜けを軽減する仕組みで、密閉されるのはキャップを閉めて初めてです。(バルブの仕組みやガスケットについては「4. テンパーアシストバルブの仕組みとトラブルシューティング」で詳しく解説しています。)
Oリングの劣化・破損
メインバルブの密閉は、バルブキャップに取り付けられたOリングが担っています。バルブ周りのエア漏れは、このOリングの欠落・劣化・破損が原因であることが多いため、修理キットに入っている予備のOリングへの交換を試してみてください。2017年以降のバルブはOリングが原因のケースが大半ですが、2016年以前のモデルではバルブキャップのネジ山自体が経年劣化して漏れることもあります。
バルブキャップを紛失してしまったら
インフレーションバッグの接続パーツを外し、ビニール袋をバルブに被せてネジ込むと、緊急用のキャップとして機能します。ネジ山にジッパー潤滑剤を塗っておくと、密封性をさらに高められます。
バルブの溶接部(ベース)からの漏れ
バルブが艇に接着されているベース部分から漏れている場合は、Aquaseal®での補修が必要です。周囲をしっかり清掃してから、漏れ箇所とステムのベース部分まで接着剤を浸透させるように塗布してください。
エルボバルブ(エア式シート・バックレスト用)の修理
バルブとその下のネジ山部分に汚れがないか点検し、先端に少量の水を垂らして泡が出ないか確認します。
予備のノズルがある場合は、古いノズルを切り取って内側をアルコールワイプで拭き、新しいノズルのキャップを外して白いカラー部分に接着剤を塗布してから挿入します。このとき、ネジ山部分に接着剤が付かないように注意し、白いカラーは少なくとも3mmほど露出させてください(奥まで入れすぎるとバルブが閉まらなくなります)。接着剤が固まるまで、ノズル上部からチューブに縦方向にテープを貼って固定しておくと安心です。
緊急時は、バルブホースを折り曲げて紐で巻き、物理的に空気が漏れないようにする応急処置も有効です。ホースの溶接部(根元)から漏れている場合は、メインバルブと同様にAquaseal®で周囲をしっかり清掃してから補修してください。
8. 推奨リペアキット
パックラフトに付属するベーシックリペアキットは、デイトリップから数日程度の短距離パックラフティングであれば十分対応できる内容です。キットの内容や使い方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
→ AlpackaRaft ベーシックリペアキット|現場でも自宅でも使える純正修理キット
複数人での長期バックカントリートリップなど、より本格的な装備が必要な場合は、上記のパンク・修理キット記事内でエクスペディションリペアキットの内容も紹介していますので、合わせてご参照ください。
9. まとめ・保証請求について
パックラフトは「とにかく丈夫」が持ち味ですが、ちょっとしたケアの積み重ねが、長く安心して使い続けるための一番のポイントです。
万が一、製造上または材料の欠陥による不具合が見つかった場合は、ご購入時の保証書をご確認のうえ、記載のメールアドレスまでご連絡ください。(製品の状態説明、破損箇所の画像、保証書を撮影した画像をご準備いただけるとスムーズです。)

