川は、増水するたびに地形や倒木などの状況が変化します。いつも下っているホームリバーであれば、状況把握は比較的容易ですが、年に数回しか行かない過去に下ったことのある川の、近況はわからないので、その川をホームリバーとしている現地ガイドにアテンドしてもらう事が一番確実です。
ということで、今回は釧路川でカナディアンカヌーガイドをされている” リバーアンドフィールド “ の土屋さん、パックラフトガイド部門 “カイパックラフティング北海道 “ の國分さんアテンドによる1泊2日の釧路川パックラフティングのトリップレポート。
北海道は広い。札幌から釧路川の源流、屈斜路湖へ移動
メンバーは、札幌、南富良野、弟子屈町と居住地がそれぞれバラバラなので、現地集合。前日の夜に札幌を出発し、一路、屈斜路湖がある弟子屈町へ向かいました。朝が来る前に、仮眠を取り、さらに移動。途中立ち寄った塘路湖の朝日が、道東へ来たことを強く感じさせてくれました。

屈斜路湖へ到着、キャンプ装備をパッキング、パックラフトをセットアップしてスタート
今回、アテンドしていただいた “ カイパックラフティング北海道 “ の事務所は屈斜路湖畔という絶好のロケーションにあります。ここから釧路川源流の屈斜路湖漕ぎ出しまで、徒歩5分もかかりません。

屈斜路湖から釧路川へ
初日のルートは、屈斜路湖からカヌーポート摩周大橋まで。若干の風はありましたが、問題なく屈斜路湖のフラットウォーターを漕ぎ進めます。

湖から川の境目にある眺湖橋から吸い込まれる様に釧路川へ流れ出します。この吸い込まれる感覚が「釧路川へ来た」ということを感じさせてくれます。
釧路川源流区間は、川読みとパックラフトをしっかりと操艇できることが必要
ここから、所謂源流区間となります。細く蛇行する川に、倒木が次々と現れるので、避けながら下っていくので、確実なボートコントロールができる必要があります。見た目の流速が早く見えない為、操艇、川読みが未熟なビジターが下ってを沈めてしまったりというアクシデントも起こっているので、しっかりと操艇できる様になってから訪れるべき川でもあります。だからこそ、ビジターは河川状況を知っている地元ガイドに依頼することも必要なのです。
また、倒木は川を塞いでいるわけではなく、舟一艇が通れるほどとなっているのは、地元ガイドの方々が倒木を完全に切断してしまうのではなく、極力自然の状態を保たせるために最低限の倒木除去を行っている為です。
中流域から下流域の湿原区間も釧路川の魅力ですが、水の透明度、操艇の楽しさ含めて、源流区間もとても魅力的な川です。
カヌーインならぬパックラフトインして立ち寄るイタリアンレストランでの昼食
そして、途中にイタリアンレストランの “ COVO “ さんに、カヌーインならぬパックラフトインです。
リバーツーリング中に、イタリアンを食べられる贅沢なんてありますか?

もちろん、事前に立ち寄る予定をしていたので、お店に迷惑をかけない様に、濡れた足元やドライスーツを脱いで入店しました。
美留和橋〜カヌーポート摩周大橋へ
ということで、少しゆっくりとした昼食休憩後に、初日のゴールポイントのカヌーポート摩周大橋を目指します。次は、初日の後半戦。

少し川幅が広がりつつも適度な瀬が登場
河川の様子は、まだ釧路川の上流区間ですが、美留和橋以下から川幅は徐々に広がってくると同時に適度な瀬も登場です。パックラフトであれば、穏やかな流れはもちろんですが、瀬の中もある程度快適に漕ぎ進めることができるのが特徴です。(もちろん漕ぎ手の技量による)
釧路川で「土壁」と言われている箇所は、過去には倒木がすごい時期もあった様ですが、この時は倒木の問題は特になし。(ただ、川は毎年減水と増水を繰り返すので、最新情報はしっかり入手することが大切。と合わせて、経験者やホームリバーとしている現地ガイドにガイディングを依頼することが、安全に楽しむ秘訣だと思います。)
今回は、現地ガイドの “ カイパックラフティング北海道 “ 國分さんにアテンドしていただいたので、最新情報を教えてくれながらのリバートリップだったので、安心して下ることができました。
カヌーポート摩周大橋に到着
そんなこんなで、初日のゴールポイントのカヌーポート摩周大橋に夕方まえに到着。

今夜は、カヌーポート摩周大橋にてそれぞれのテントにて宿泊するので、ダウンリバー装備を脱ぎ、ドライスーツ干し、テントを設営して各々ゆっくりとした時間を過ごします。

日も暮れ始めてきたところで、摩周大橋からすぐの「摩周温泉ビラオの湯」で初日の汗を流し、アテンドしていただいたガイドお二人のご提案で、夜は弟子屈の町の釧路川のカヌーと非常に関係の深い居酒屋 “ 鳥やき 翻車魚 “へ。話しの話題は、北海道のアウトドア今昔話しを中心に。。

テン場に戻って、釧路川のせせらぎを聞きながら明日の “ 摩周大橋~標茶 “ の区間に備えて、各々眠りにつきます。それにしても、パックラフトを使用した街と街を繋ぐリバートリップは、つくづく、アウトドアトリップ+ローカルトリップというそれぞれを境目を薄くしてくれる、刺激的な旅だと感じました。
航行禁止区間の摩周大橋から弟子屈町内をハイキングで楽しむ
翌日の朝の支度も各々終わらせると、弟子屈町の摩周大橋から下流6kmは航行禁止区間(河床にブロックの人工物もある為、今現在はそもそも下ることに適していないですが、航行禁止区間の解除の方向へ行政と地元ガイド協働で動いているとのことです。)となるため徒歩で街中を歩きながら川へのプットインポイントを目指します。

道の駅摩周の向かいにある目立つことのない湧水ポイント、町内コンビニエンスストアでの食料調達しながら、商店街を歩きます。やっぱり初めて歩く街は楽しいものです!これも、現地ガイドのアテンドならではです。
再びパックラフトで釧路川へ
プットインしてすぐに、” 南弟子屈サンペコタン地区 “ のポーテージ(危険物等がある為、川から上陸して陸移動で回避する)ポイントが訪れるのですが、護岸工事によって若干のシュート地形になっている上に、護岸工事されたブロックが崩れている為、カヌー、パックラフトがフリップ(転覆)した際に、事故が起る確率が高くなっている状況です。

ポーテージについて
「人工物がそもそも危険+人工物が危険な崩れて危険な状況+危険回避できる確率」これは、技量どうこうの話しではなく、川ではこういった場面は避けるべきなので指示通り、必ずポーテージしましょう。

ゆったりとした時間が流れる釧路川

ポーテージ後は、さらに川幅が広くなり道東の広い空を眺めながらゆっくりとダウンリバー可能です。昼食もパックラフトの上です。(流れ続けるので、周辺状況は見ながらたまにパドルを入れましょう。)途中休息を入れながらリラックススタイルでゴールまで下り続けます。

今回は釧路川のスルーパドリングではないので、この先の湿原区間はお預け。標茶町でゴールとなります。

標茶町カヌーポート富士駅でゴール
ゴール後、河川敷でパックラフトの撤収をしていると散歩中のご夫婦に釧路川を下ってきた旨を伝えると「標茶町を利用してくださってありがとうございます」とのお言葉をいただきました。これは、日本のパドリング人口は決して多くはありませんが、釧路川という河川では、往年からリバートリップ文化が根付いている証拠なのでしょう。道東らしく鶴のつがいが河川敷に居たのも印象的。
そして、標茶町のモール温泉の ” 富士温泉 ” で、キレイさっぱり汗を流して解散となりました。(残念ながら2024年に富士温泉は閉業されてしまいました。)

そして、現在パドラーが一時期より減少していますが、パックラフトという比較的新しい道具でのリバートリップが再び盛り上がってくれることを期待して発信し続けてみようと思います。
パックラフトに乗ってダウンリバーツーリングを始めたい方へ
私のパックラフティングスタイルは、川を街と街をつなぐ道と捉えての旅要素を求めることが多いので、全て野外完結型でなくても良いと思っています。例えるならば、登山よりもロングディスタンスハイキングに近い行為だと思いますし、川を下るという行為をするハードルはありますが、これからパックラフティングを始めたいと思っている方にも「旅」の視点を感じてもらえた時に、パックラフティングにグッと近づきやすさを感じてもらえるのではないかな?と勝手に思っています。
(もちろん、ホワイトウォーターの楽しさも知っていますし、全て野外完結型のパックラフティングも楽しいと思っていますよ🙌)
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