“ユウフツ越え”について
北海道には、かつて川を交通路として太平洋から日本海へ抜ける「ユウフツ越え」と呼ばれる川を道として利用された交通輸送路がありました。パックラフティングをしていれば、上流から下流、そして、河口へ抜けるスルーパドリングのイメージはあるけれど、このルートは太平洋の勇払川→ウトナイ湖(前後通行不可)→美々川→陸路で千歳川。ここまでは全て下流から上流へ漕ぎ上がる区間、ここを頂点に上流から下流へ下る区間、千歳川→石狩川→日本海の逆ルートは「シコツ越え」と言う。
今回は、「ユウフツ越え」のセクションパックラフティングで、勇払川河口からスタート。
昔の荷物輸送に使用されてた丸木船はどれくらいの推進力があったのかはわからないけれど、パックラフトでやってみようという企画。
まず、「セクションパックラフティング」という言葉ですが、全区間を漕破することをスルーパドリングと言いますが、全区間ではない「あいだ」のみを漕ぐ企画を「セクションパックラフティング」というこれは組み合わせた言葉。ロングディスタンスハイキングの界隈だと、セクションハイクという言葉はよく聞かれます。

今回の装備品はざっとこんな具合です。宿泊はないので、デイパックラフト装備で、ここから各々パッキングをしました。使用艇は、アルパカラフトのクラシック、川上の装備は全てウォーターシェッドのドライバッグへ。

「果たして川をパックラフトで漕ぎ上がることは出来るのか?」「傾斜はゆるい地形だから大丈夫じゃないかな?」最終的には、「いや〜、ダメなら歩けば良いよね」というくらいの感覚で行けるのが、パックラフトの良いところ。

ということで、「勇払川」河口の、うねりの強い太平洋を見て気持ちを上げた直後に、漕ぎ上がりを開始します。海からパックラフトを浮かべると波に揉まれるので、パッキングしてプットインに良さそうな場所を探します。

“アップリバー⇔ダウンリバー“ である事を考えるとダウンリバーの逆の動きをする事を念頭にプットイン。

エディ(川の中の障害物で反転流が起こっている箇所)内を漕ぎ上がり、左右に蛇行する流れの変化があれば、フェリーグライドで対岸のエディに入っていく。これは、ダウンリバーの基本に立ち返れば、川読みの基本とテクニック。基本の動きを復習するトリップにもなりました。
時速2kmくらい?エディ内じゃなければ、パドリングを休むと戻されます。まるで、歩きの方が早いじゃないか。。というのは、今回の趣旨とは反するので、考えないことにします。(実際、半分は無心状態)

そんなこんなで、心地よい?疲労感の中、勇払川セクションを無事に終えて、立ち入り制限のあるウトナイ湖手前で上陸箇所を探して次は、美々川までの歩きセクションに入ります。
勇払川を漕ぎ終え、パックラフトをパッキングしてのハイクセクション
勇払川セクションを河口から上流部まで漕ぎ終え、立ち入り制限のあるウトナイ湖下流手前で無事に上陸。

パックラフトをパッキング、これから美々川までの歩きセクションに入ります。

かつて、この辺りが海だった事がわかる植生、白骨化した鹿、線路脇の草木がせり出したダブルトラックのハイクセクションは、街からそれほど離れた場所ではありませんが、バックカントリー感が十二分に溢れている場所でした。


あえて、幹線道路を歩くことは避けて、無人のJR駅、生活道路を抜けます。

その後、いわゆる美々川ゴールのカヌーポートのあるタップコップ親水公園へ到着、ウトナイ湖上流の美々川最下流のインレットには野鳥保護ということで入ることはできませんので、ご注意を。

ここで、ホッと一息つくランチタイム。次回、美々川下流から上流部までを漕ぎ上がります。
いよいよ今回の、セクションパックラフトトリップ最後の美々川セクション。
ランチでひと休憩後、再度パックラフトを膨らませてセットアップします。勇払川での漕ぎ上がりに少し疲労気味、腰が少し重たい気持ちは否めませんでした。
再びパックラフトでの美々川セクション

流速はどれくらいか?と漕ぎ出してみると流れはあるけど、美々川は、ほぼ静水でした。これも、勇払川の漕ぎ上がりで鍛えられたのでしょう。
美々川は、流速も緩やかで、水質も勇払川より透明、快適かつ気持ち穏やかに漕ぎ上がっていきます。
途中、蛇に会ったり、前日に某所でお会いしたパックラフターのお二人と、奇遇にも美々川で再会したりと、出会いも楽しい今回のトリップ。

当初、松美々橋カヌーポートまで漕ぎ上がろうかと思っていたのですが、途中から極端に川幅が狭くなるため、上流からカヌーで下ってくる方にご迷惑をおかけすることの考慮と漕ぎ上がりに飽きてしまった事が理由(後者の理由の方が強い)で、中間地点の第二美々橋カヌーポートでパックラフトセクションは終了させることに。
この後の工程を松美々橋まで行く際は、時期によってはウライ(鮭捕獲の道具)が設置されているので、要ポーテージ(障害物などで川を下り続けられない時に川から上がって陸上を歩く意味)です。

再度、パックラフトをパッキングした上で、ハイクしてゴールポイントを目指します。
そして、今回のゴールポイント到着となります。全然目立つ場所にない「ユウフツ越え美々舟着馬跡」

本来であれば、ここからの続きは千歳川までは陸路通行から、千歳川〜石狩川〜日本海へ繋ぐルートが「シコツ越え」となります。
ダウンリバーではなく、アップリバー(遡上)、、、は、しばらく遠慮したいですが、今度は、ユウフツ越え美々舟着場跡から、日本海まで繋げたい気持ちが湧いてきました。
これにて、「ユウフツ越え」セクションパックラフティングは終了です。
勇払川に関しての記載はないのですが、美々川〜ウトナイ湖までの区間についてのマップ、連絡先、注意事項含めた記載があるので、訪れる方は、ご一読ください。→ 美々川カヌーガイドライン
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