「パックラフトで立ってキャスティングできると聞いたけど、どういう仕組みですか?」
AlpackaRaft Rendezvous(ランデブー)を検討する方からよく受ける質問です。その答えは、ソートシステムにあります。
ランデブーは一般的なパックラフトとは根本的に異なるシート設計を採用しています。着脱式シートではなく、船体と一体化した中央のソート(thwart)が座面として機能します。この設計が何を可能にし、なぜフィッシングに有利なのかをこの記事で解説します。
ソートとは何か
ソート(thwart)はもともとカナディアンカヌーに使われる横断材です。カヌーの両側の船縁をつなぐように渡された板状の部材で、船体の横方向の剛性を高める構造部材として機能します。
カナディアンカヌーでは、このソートを座面として使うスタイルが一般的です。パドラーはソートに跨るか、その上に板を渡してシートとして使います。
ランデブーはこのカナディアンカヌーの設計思想をパックラフトに取り込んだモデルです。インフレータブル構造の船体に、固定された中央ソートを組み込むという、パックラフトとしては革新的な設計を採用しています。
ランデブーのソートが持つ3つの機能
機能①:前方パドラーの座面
ランデブーは2人乗りです。後方パドラーは船尾に座り、前方パドラーは中央ソートに座ります。
ソートシートは、一般的なパックラフトの床座りスタイルと比較して座面が高い位置にあります。これにより前方パドラーの視線が上がり、川の状況把握やキャスティングポイントの確認がしやすくなります。
また、座面が床より高い分、腰・背中への負担が軽減されます。長時間のフィッシングや長距離トリップで、このポジションの差は疲労度に影響します。
機能②:船体剛性の向上
ソートは単なる座面ではなく、船体を横方向に補強する構造部材でもあります。
インフレータブルボートは空気で形を保つため、重量や外力に対して変形しやすい面があります。中央ソートが船体を横断することで、2人が乗った状態での船体のたわみが抑制されます。これがパドリング効率と艇の追従性の向上につながります。
機能③:立ち上がりを可能にする
ランデブー最大の特徴です。前方パドラーはソートから立ち上がることができます。後方パドラーも同様に立つことが可能です。
なぜ立てるのか:ソートが船体を横断して固定されているため、立ち上がった際の体重を船体全体で支えられます。一般的なパックラフトのように床面しかない場合、立つことは不安定で危険ですが、ランデブーのソートは立つための足場として機能します。
立てることで何が変わるか:
- キャスティングの視点が大幅に上がる
- バックキャストのクリアランスが増える
- より自然なキャスティングフォームが取れる
- 川上からの偵察・状況確認ができる
- 写真・動画撮影のポジションとして優れている
立ちキャスティングの実際
立ちキャスティングは特にフライフィッシャーにとって重要な機能です。
座位キャスティングの課題:
- 視点が低く、水面反射の影響を受けやすい
- バックキャストのクリアランスが少ない
- 遠距離へのロングキャストでフォームが制限される
- 草木・岩などの障害物越しのキャストが難しい
ランデブー(立位)でのキャスティング:
- 視点が上がり、ポイントの把握が容易になる
- バックキャストのクリアランスが増加する
- 自然なキャスティングフォームでロングキャストが可能
- 障害物越しへのキャストに対応しやすくなる
ただし、立ちキャスティングには一定のバランス感覚が必要です。はじめはフラットウォーターで練習し、艇の動きと自分のバランスを確認してから本番フィールドで使用することをおすすめします。
ソートと着脱式シートの違い
従来のパックラフトの同乗者シートは着脱式です。使用時に取り付け、使わないときは外して収納する形式です。
| ランデブーのソート | 着脱式シート | |
|---|---|---|
| 立ち乗り | ◎ | × |
| 船体剛性への貢献 | ◎ | × |
| セットアップの手間 | ◎(不要) | △(毎回取り付け) |
| かさばり | ◎(船体一体型) | △(別パーツ) |
| パッキングの楽さ | ◎ | △ |
| 座面の高さ | 高め(ソート位置) | 低め(床に近い) |
ソートの最大のメリットは「立てること」と「パーツが増えないこと」です。毎回シートを取り付ける手間がなく、別途管理するパーツも存在しません。艇を膨らませればすぐに使える状態になります。
ソートシステムの注意点
水域の選択
ランデブーはオープンデッキです。ソートから立ち上がれるメリットがある一方、デッキがないため波が入りやすい環境には適しません。立ちキャスティングを楽しむ場合は、フラットウォーターからクラスIの穏やかな流れが前提です。
バランスの習得
立ち位置でのキャスティングは、最初は艇が不安定に感じる場合があります。静水域でのバランス確認から始め、徐々に慣れていくことをおすすめします。後方パドラーに「静止」してもらいながら練習すると習得しやすいです。
2人の連携
後方パドラーが艇を動かした瞬間に前方の立位パドラーがバランスを崩す可能性があります。前後のコミュニケーションと動作の連携が重要です。立ちキャスティング中は、後方パドラーに声をかけてから動作するようにしてください。
まとめ
ランデブーのソートシステムは、カナディアンカヌーの設計思想をパックラフトに持ち込んだ革新的な機能です。
立ちキャスティングを可能にし、船体剛性を高め、セットアップを簡略化する——この3つを同時に実現しています。
フィッシングパックラフトとしてのランデブーの優位性は、ソートシステムなしには語れません。「パックラフトで釣りをする」という行為の質を根本から変える設計です。
製品リンク
→ AlpackaRaft Rendezvous(ランデブー)210d オープンデッキ カーゴフライ付|Packraft Hokkaido Web Shop




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