ここから先は、ガイドやギアの話ではない。地名の由来や、川にまつわる昔の記録を、気になった時にメモしておく場所。
道東のトレイルを歩いた帰り、車の窓から見えた螺湾ぶきの大きさに、また驚かされた。足寄町螺湾地区に自生するこのフキは、高さ2〜3メートル、茎の直径は10センチに達する。日本最大のフキとされ、北海道遺産にも選定されている。
遺伝ではなく、水の話
これほど巨大になる理由は、長らくはっきりしていなかった。品種そのものが特別なのではないかと思われがちだが、実際は違う。九州大学農学部附属北海道演習林の千葉智和氏・内海泰弘氏と、足寄動物化石博物館が2015年から進めた共同調査により、螺湾川・茂足寄川の水に含まれる豊富な栄養分が主な要因だと分かった。窒素・リン・カリウム・マグネシウム・カルシウムといった、植物の成長に必要な養分が、一般的な河川水のおよそ10倍の濃度で含まれているという。研究成果は2021年1月、国際学術誌「Scientific Reports」に掲載されている。
螺湾川の水源は、雌阿寒岳の麓に広がるオンネトー。地元・JAあしょろ側の説明では、アキタブキの変異や盆地特有の気候、雌阿寒岳の火山灰土壌なども複合的な要因として挙げられている。他の土地に移植しても同じようには育たないとされ、螺湾という土地に固有の現象だという。
コロポックルの葉陰
地名「螺湾」自体もアイヌ語に由来するとされる。この地は、フキの葉の下に住むという小人「コロポックル」の伝説の舞台としても語られてきた。葉一枚が傘になるほどのフキが茂る風景を思えば、その伝承にも頷ける。
苗や種の持ち出しは禁止されている。
道東のトレイルの帰り道に見かけた、というだけの接点だが、その大きさは今も記憶に残っている。




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